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女性は更年期前後で、体質が急激に変化します。
更年期障害とは、卵巣機能の低下によるエストロゲン欠乏に基づくホルモンバランスの崩れにより起こる症候群で、脈が速くなる(頻脈(ひんみゃく))、動悸がする、血圧が激しく上下する、腹痛、微熱、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)、多汗、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、不眠、疲労感、口の渇き、のどのつかえ、息切れ、下痢、便秘、腰痛、しびれ、知覚過敏、関節痛、筋肉痛、性交痛、生理不順などの症状が出現します。
エストロゲンが低下することで、血液中のコレステロールの量が増えたり、太り易くなったりするなど、体質が変化することが多く、これが心臓疾患のリスクにつながっている可能性があります。
エストロゲンの欠乏によって起こるので、西洋医学的には、エストロゲンを補充する治療が積極的に行われます。
いわゆるホルモン補充療法(HRT;hormone replacement therapy)です。
アメリカなどでは広く行われていますが、日本では、血栓症や癌などの問題もあり、余り普及しているとはいえない状態です。
更年期障害には、漢方薬では、いわゆる駆瘀血剤(くおけつざい)である、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)が良く使われます。
その他、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、温経湯(うんけいとう)、温清飲(うんせいいん)、女神散(にょしんさん)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)なども比較的良く使われます。
健康食品・サプリメントとしては、大豆イソフラボンが有名です。
これは、大豆イソフラボンに弱いエストロゲン作用があると言われ、エストロゲンの作用を補うことが期待されています。
面白いことに、エストロゲンが過剰な際は、逆にエストロゲンと競合的に拮抗(きっこう)して、エストロゲンの作用を抑えるとも言われています。
同じマメ科の植物である、レッドクローバーや葛(くず)、プエラリア・ミリフィカ(ガウクルア)にも、大豆イソフラボン同様に、女性ホルモン様作用があります。
ただ、プエラリア・ミリフィカ(プエラリア)の作用は強過ぎて、副作用のおそれもあり、健康食品としては、適さないのではないかという意見もあるようです。
更年期には、朝鮮人参やマカも良いと言われています。
その他、リラックス作用のある、ギャバ、バレリアン(西洋カノコソウ)、セントジョーンズワート(西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ))、テアニンなども良いと言われています。
固体培養の紅麹(べにこうじ)には、ギャバが含まれ、更にコレステロールの合成を抑えるモナコリンK(ロバスタチン)も含まれていますので、更年期の女性に良いかもしれません。
食用油である魚油に含まれるDHA・EPAもうつや敵意を抑えるセロトニン神経を活性化する一方、ストレスで増えるノルアドレナリンを抑えて精神を安定させる働きがあり、更年期にも良いと言われています。中性脂肪やコレステロールを下げたりする作用もあり、心臓病のリスクを下げると考えられますので、このような食用油も健康に良いかもしれません。
薬事法的には、上記のような健康食品・サプリメントにおいて、更年期障害に対する効果等を広告することは禁止されています。
ご注意下さい。