(コメント)
睡眠時間が1日6時間に満たない人が早死する確率は、6〜8時間の睡眠をとる人に比べて12%高いとのことです。
その原因として、「睡眠時間が短いと糖尿病や肥満、高血圧や高コレステロールを引き起こしやすい」と解説されています。
糖尿病、肥満、高血圧、高コレステロールと言えば思い出すのは、メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)です。
睡眠不足は、メタボにもつながり易いようです。
睡眠は、体を休め、記憶の定着、ホルモンの分泌、自律神経(交感神経、副交感神経)を休める、などの作用があります。
成長ホルモンは、PM10時〜AM2時、つまり、午前零時を中心にした時間帯の睡眠中に分泌されると言われています。
成長ホルモンの作用としては、 骨の伸長、筋肉の成長、代謝促進などの効用があり、いわゆる若返り(アンチエイジング)に効果があると言われています。
昔は、夜になるとお店も閉まって家から出ることがありませんでしたが、近年は、夜中でもコンビニが開いているなど、夜型の社会になってしまって、夜でも昼間と同じような行動ができてしまうのが一番の問題かもしれません。
また、眠らないのではなく、眠れない人、すなわち、睡眠障害の人も増えているようです。
睡眠障害にも、色々な種類があります。
主なものとしては、
1.なかなか寝つけない「入眠障害」
2.夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」
3.眠りが浅くて熟眠感がない「熟眠障害」
4.朝早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」
などがあります。
眠れないという人の中には、昼間、特に夕方に昼寝をしてしまって、夜眠れないという場合もあるようです。
また、眠らないといけないという不安、プレッシャーが、更に眠りを妨げる原因となることもあるようです。
不眠症・睡眠障害に用いられる漢方薬には、
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味温胆湯(かみうんたんとう)
加味逍遙散(かみしょうようさん)、
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
大建中湯(だいけんちゅうとう)
釣藤散(ちょうとうさん)
滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
などがあります。
体質や症状などにより、使い分けますので、専門家に相談した方が良いです。
1.酸棗仁湯(さんそうにんとう)
体力は中等度で以下で、不眠の他に特徴的な症状がない。
2.加味帰脾湯(かみきひとう)
酸棗仁湯証よりやや虚状が強く、血色が悪い。イライラしたり、くよくよしたりしやすい。
3.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこぼれいとう)
不眠、多夢、動悸、イライラなどの神経症状が強く、胸脇苦満と臍上悸(臍下悸)が認められる。
4.甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
理由もなく悲しがったり、怒ったりする。生あくびが出やすい。
5.加味逍遙散(かみしょうようさん)
背中が急にカーッと熱くなり、汗が出て、そのあと寒くなる。不定愁訴がむやみに多い。
6.桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
のぼせる傾向があり、諸種の神経症状がある。臍上悸を認める。
7.竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
虚状が強く、胃腸障害があり、咳や痰が出て熟睡しにくい。
8.甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)
腹鳴があり、下痢しやすく、不眠、イライラなどの神経症状がある。
健康食品・サプリメントとしては、SAMe(サミー、サムイー)、パッションフラワー(トケイソウ、時計草)、カノコソウ(吉草根)、カモミール(カモマイル、カミツレ、カミルレ、ジャーマンカモミール)、ギャバ(γ-アミノ酪酸(がんまあみのらくさん))、テアニン(お茶のうまみ成分)、ホップ、バレリアン(西洋カノコソウ、ワレリア)、バコパ・モニエラ、紅麹、カキ殻、カルシウム剤などが使われています。
ギャバは、高血圧などに効果があるとして、トクホにも認められています。
紅麹には、ギャバが含まれています。
健康食品・サプリメントでは、薬事法上、効能・効果をうたうことができないのが残念です。
一般用医薬品(OTC)では、抗ヒスタミンの通常は副作用と呼ばれる作用を利用したものが上市されています。
エスエス製薬のドリエルなどが有名です。
いわゆる睡眠導入剤になります。
医療用医薬品の睡眠薬を使うのに、漠然とした不安を感じる方も多いようですが、お酒(アルコール)を寝酒として服用するよりも安全と言われています。
睡眠障害が長く続くようなら、専門家に相談した方が良いようです。
早寝早起きは健康の基本です。
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