(コメント)
日本では、15人に1人が生涯に鬱病を発症すると言われています。
ただ、鬱(うつ)病といっても、ドイツ精神医学に倣った原因別分類によるうつ病と、アメリカ精神医学に倣った操作的診断と呼ばれる症状別分類とがあり、医師の間でも混乱がみられるとのことです。
今回の記事は、反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)と呼ばれる、頭頂部左前付近に電磁コイルによって刺激を与え、感情制御回路を活性化させるもので、安全性は高く、副作用もほとんど無いとのことです。
一般的な治療は、薬物療法の他、認知行動療法、電気けいれん療法 (ECT)、経頭蓋磁気刺激法 (TMS)、断眠療法、光療法、運動療法などがあります。
経頭蓋磁気刺激法 (TMS)と、反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)とは、どのように違うのか、この記事では良くわかりませんでした。
文字としては、反復性の有無だけなので、基本的には同じようなものなのでしょうか?
経頭蓋磁気刺激法 (TMS)は、保険は未承認なので、反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)も保険はきかないと思われます。
有効な治療方法で副作用も余りないのであれば、保険で早く認められて欲しいものです。
認知行動療法は、以前は保険適応ではありませんでしたが、最近、「認知療法・認知行動療法」として、保険が適用されたようです。
保険点数は、1日につき、420点ですので、3割負担ですと、自己負担は1,260円となります。
今まで自費になっていたので、患者としては喜ばしいのですが、病院・診療所としては、トータルの収布は減りそうなので、この点数が
高いのか安いのか難しい所です。
反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)なども同様に、早く保険適用になると良いのですが……。
ところで、うつ病の患者さんは、医薬品による薬物治療について、漠然とした不安感があるとのことです。
http://www.yakuji.co.jp/entry3921.html?ym070803
薬は副作用があるという思いが強いのかもしれません。
そのため、漢方薬や健康食品・サプリメントなどを使用しようとする人も多いようです。
ただし、漢方薬はれっきとした医薬品です。
保険で使用可能なものも多いですし、もととなる生薬(しょうやく)も保険で使えるものが多いので、その生薬を組み合わせれば、多くの漢方薬は使用することができます。
一般用医薬品の漢方薬も、医療用の漢方薬とほぼ同じものがあります。
ただし、漢方薬は、その人の体質や症状などに合わせて処方するので、保険適応の病名と合わない場合もあり、そこは難しい所です。
鬱には、漢方薬としては、香蘇散(こうそさん)、 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などのいわゆる順気剤(じゅんきざい)が良く用いられますが、例えば、香蘇散の効能は、一般的なメーカーのものでは、「胃腸虚弱で神経質の人の風邪の初期」となっていて、鬱に使うのは難しそうです。
(なお、コタロー(小太郎)の香蘇散の効能は、「神経質で、頭痛がして、気分がすぐれず食欲不振を訴えるもの、あるいは頭重、めまい、耳鳴を伴うもの。* 感冒、頭痛、ジンマ疹、神経衰弱、婦人更年期神経症、神経性月経困難症」となっていて、神経衰弱を利用すれば何とか使えそうです)
香蘇散を鬱などに使われることがあるのは、漢方をやっている人にとっては、常識的なことなのですが、レセプトの監査を行う人にとっては、保険適用の病名と異なると、ダメなようです。
医療用漢方薬の効能・効果は、ツムラやコタロー(小太郎)のような先発品以外は、実は、一般用医薬品と同じ効能・効果しか標榜できません。
一般用医薬品と同じということは、つまり、医師にかからなくても治せるような症状、病気、すなわち軽いものしか認められていないわけです。
香蘇散も風邪しか適応がないので、非常に使いにくくなっています。
順気剤以外には、酸棗仁湯(さんそうにんとう)、帰脾湯(きひとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、分心気飲(ぶんしんきいん)、人参湯(にんじんとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などがよく用いられます。
うつ(鬱)に良く使われる漢方薬については、下記のサイトもご参照下さい。
http://kenko-hiro.blogspot.com/2009/04/blog-post_23.html