2010年05月07日

経口避妊薬の米発売から50年、誕生までのいきさつと今後の課題



(コメント)
 低用量のピルは日本ではなかなか認められませんでした。
平成2年に申請して、薬事法上の承認を得られたのは、何と9年後の平成11年です。

 なかなか承認されなかったのは、エイズなどの性感染症の拡大を懸念する声など、薬本来の有効性や安全性の問題ではなかったようです。

 低用量ピルは、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)にも有効なのですが、最初の頃は子宮内膜症には認められていませんでした。

 子宮内膜症に用いられる低用量ピルは、ノーベルファーマ社の「ルナベル配合錠」が最初で、2008年の販売です。
 販売元は、日本新薬と富士製薬工業です。


 経口避妊薬であるピルは、女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンを成分とする錠剤です。
 ピルを飲むことによって、体のホルモンバランスを妊娠している状態に似たようにして排卵を抑制します。

ピルを飲むことで、妊娠している状態に近くなるので、排卵をしなくなり、避妊に役立ちます。
その他にも、着床を抑制したり、子宮内に精子が流入するのを防いだりという作用もあります。


ピルは、成分が入っている薬を21日間飲みます。
その後7日間は飲まない、または成分の入っていない薬を飲みます。
21日間飲み続けた後、3〜4日後ぐらいに月経があります。

ピルの飲み方としては、毎日同じ時間に飲む必要があります。
夜の9時に飲む方は、次の日も夜の9時ごろに飲む必要があります。

もし、飲み忘れた時は、それが、24時間以内の場合は、気づいたときに、1錠のみ忘れた分を飲むようになっています。
その後は、いつもの通りの時間にもう1錠飲むようにします。

飲み忘れてから24時間の場合は、いつもの時間に2錠飲み、その後は、いつもの時間に1錠ずつ飲みます。

飲み忘れてから24時間以上経過している場合は、避妊を目的としている場合は、服用をやめて、生理が来るのを待つ必要があります。

生理がきたらまた新しい次のシートを飲み始めます。
新しいシートを使うことに注意して下さい。
前の残りを飲んではいけません。

また、服用を中止した場合は、避妊効果は確実ではありませんので、注意が必要です。


避妊を目的とせずに、生理痛の軽減などの効果を目的としている場合に
、飲み忘れてから24時間以上経過している場合は、思い出した時に2錠飲み、その後は、通常の服用時間に1錠ずつ飲むようにします。

副作用としては、体重増加、片頭痛、イライラ、性欲減退、むくみ、嘔吐、膣炎、肝機能障害、血栓症、発癌性、子宮筋腫、糖尿病などがあると言われています。

2008年の調査では、ピルの普及率は3%で、服用者は推計約82万人だそうです。
平成18年には「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」が改定され、服用前に煩雑で高額な検査が課されていたガイドラインから、「問診を重視、血圧測定を必須」とする世界基準に準拠するガイドラインに変わり、普及率が1.8%から3.0%と上昇したとされています。

アメリカではピルが承認されて50年目を迎えます。
普及率は、日本の6倍に当たる18.3%にもなります。

日本での普及は、今後どうなることでしょうか?

ピルの購入には、薬事法上、医師の処方箋(しょほうせん)が必要になります。
避妊目的で服用する場合、婦人科や内科を受診して処方してもらいます。

ピルは健康保険が適用されないため、自己負担となります。
たとえば低用量ピルの場合の費用は、1ヵ月分で3000円前後が目安です。
さらに、診察・検査費用が別途必要となりますので、特に初診の際は、高額になります。

女性にとっては、診察が恥ずかしいことや、高額になることから、個人輸入を利用する人もいるようです。
ただし、個人輸入といっても、実際は輸入販売をしている業者があったりして、薬事法違反のものが多いようです。
また、偽物も多いので、注意が必要です。
更に重い副作用などが起こっても、何の保証もないので自己責任で購入する必要があります。

日本国内の正規の手続きを取ったものであれば、もし、副作用等が生じても、「健康被害救済制度」があります。
posted by HIRO at 06:45 | Comment(0) | TrackBack(2) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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