(コメント)
「風邪は万病の元」ならぬ「冷えは万病の元」とでも言うような考えがあります。
高木 嘉子(たかぎ よしこ)先生、
進藤 義晴(しんどう よしはる)先生、
石原 結實(いしはら ゆうみ)先生
などが冷えに対して有名です。
一般的な西洋医学ではそれほど重要視されない「冷え」という症状ですが、
漢方では重要な症状の一つです。
「冷え」がある時に良く使われる漢方薬としては、
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、
真武湯(しんぶとう)、
人参湯(にんじんとう)
などがあります。
また、附子(ぶし)や紅参(こうじん)を
他の漢方薬と合わせて使用することも多いようです。
附子はトリカブトという植物の子根で、
毒性が高く、矢毒などとしても用いられています。
そのまま使用すると、毒性が強く、
トリカブト中毒で死んでしまった方もいらっしゃいますが、
加熱することで毒性は弱まります。
現在の日本で主に使われるのは、
生の附子(ぶし)ではなく、
加工して減毒した加工附子(かこうぶし)と呼ばれるものです。
以前は、白河附子や塩附子、炮附子などの附子もありました。
トリカブトの変わった加工方法としては、
童便(子供の尿)に漬けるというものもあります。
もし、附子中毒になった時は、黒豆(くろまめ)と甘草(かんぞう)を
一つかみずつ煎じて飲むと、解毒できるそうです。
ただ、日本で使われる一般的なエキス剤では、
アコニチンの量に規制がありますので、
まず、中毒になることは無いようです。
トリカブトの中毒で多いのは、
漢方薬として飲んだ場合よりも
山菜として間違って食べた時の方が
多いと考えられます。
紅参は、人参(いわゆる薬用人参、朝鮮人参)を蒸したものです。
日本の漢方薬としては、紅参は余り使われませんが、
韓国や中国では良く使われ、
また日本でもサプリメントとしては使われています。
現代の生活は、体を冷やす食材、食べ物、生活習慣が多く、
体を冷やしてしまう方が多いようです。
暑がりと思っていても、手足のほてりは、
実際は冷えから来ていることも多いようです。
ただ、逆に熱証の方もいらっしゃいますので、
見極めは必要です。
人参や附子を飲んでのぼせるような人は
熱証の可能性が高いと考えられます。
漢方薬は正しく使えば効果を発揮しますが、
間違って使用すると、効果が無いばかりか、
副作用が出ることもあります。
必ず専門家に相談してから使用するようにしましょう。
漢方薬は医薬品です。