(コメント)
牛のレバ刺しは、O-157等の腸管出血性大腸菌のリスクがあるということで
禁止されました。
O-157は、1982年(昭和57年)に、 アメリカ合衆国で、
ハンバーガーによる食中毒が発生し、
その原因菌として、初めて特定されました。
それまで、大腸菌は、汚染の指標にはなるものの、
病原性は無いと言われていました。
現在も、ほとんどの大腸菌は無害ですが、
一部、危険なものがあり、
そのため「病原性大腸菌」と呼ばれます。
大腸菌の学名(ラテン名)は、 Escherichia coli で、
E. coli(イーコリ)と略称することもあります。
大腸菌は、菌の表面にある抗原に基づいて分類されます。
大腸菌の表面にある抗原は、O抗原とH抗原があります。
O抗原は外膜のリポ多糖由来のもので、H抗原はべん毛由来のものです。
O-157は、O抗原としては157番目に発見されたものを持つ菌というこで、
O抗原は現在約180種類ほどに分類されています。
H抗原は約70種類に分類されていて、
このO抗原とH抗原を組み合わせて、
分類されています。
例えばO-157については、
「O157:H7」と「O157:H-」という2種類があります。
レバ刺しでは、病原性大腸菌のリスクを除くことができないので、
加熱しないものは出せなくなりました。
その為、代用として出されるようになったのが、
豚のレバ刺しです。
しかしこの豚のレバ刺しも、
食中毒やE型肝炎発症のリスクが高いということで
禁止になるようです。
E型肝炎は、
ウイルス性肝炎の一種で、
E型肝炎ウイルスと呼ばれる接触感染性ウイルスによって起こります。
豚のレバーには、このE型肝炎ウイルスがいるようです。
潜伏期間は15日〜7週間とされていますので、
感染した原因がわかりにくいようです。
また、感染しても症状が認められることはそれほどないく、
自然消失・自然治癒が見られ、致死率は低いとされています。
ですので、それほど畏れる必要は無いのですが、
時折、重症な急性肝疾患に進展し、
致命的となることがあります。
牛レバーや豚レバーの他にも、
「今後は鳥や馬の生食についても食べ方の基準づくりを検討するほか、
ジビエと呼ばれる野生動物の生肉についても生食をしないよう指導を徹底する。」
とのことで、生食は厳しくなりそうです。
記事にはありませんが、
そのうち、魚の刺身も、
規制が出てくるかもしれません。
豚の肝臓は、
加水分解物が、
医薬品や健康食品としても利用されています。
肝臓の加水分解物は、
肝機能改善作用があると言われています。
一方では肝炎になり、
一方では肝臓の治療に使われるというのも
考えてみれば不思議なものです。