2014年02月02日

ピーナツアレルギー治療にピーナツが有効

(コメント)
ピーナツアレルギーの子供に少量のピーナツを毎日与えると、
ピーナツを食べても大丈夫になったとの記事です。

なんとも不思議な感じですが、
実は、この現象は、古くから知られ、
「経口免疫寛容」(けいこうめんえきかんよう)と呼ばれています。

免疫とは、自己と非自己とを分けて、非自己を排除する仕組みですが、
食べ物は基本的に全て非自己ですので、これを排除してしまっては生きていけません。
この為、口から入るものには、免疫が起きないようになっています。
これを「経口免疫寛容」といいます。

この「経口免疫寛容」を利用してアレルギーを起こさないようにするものとして、
漆(うるし)職人の子供に漆(うるし)を食べさせるというものがあります。

今回のピーナツアレルギーに関する記事も、漆(うるし)の場合と同じようなものだと考えられます。

同じような効果を期待して、スギ花粉が健康食品として売られていたこともありました。
ただ、この杉花粉の健康食品を飲んで、アナフィラキシーショックを起こした人がいて、
それ以後、健康食品としてのスギ花粉の販売が禁止されました。

ピーナツアレルギーの治療にピーナツを使った実験でも、
5人に1人の割合で「有害事象」が見られたとなっていますので、
この「経口免疫寛容」を個人で試すのは、危険かもしれません。

スギ花粉の「免疫寛容」を利用した「シダトレンレジスタードマークスギ花粉舌下液」の
製造販売承認を鳥居薬品株式会社が、2014年1月17日に、取得しました。

従来から施行されてきた減感染療法(げんかんさりょうほう)は、皮下注射によるもので、
注射による痛みがあり、
また、必ず病院・診療所へ行ななくてはなりませんでした。
今回の「シダトレン」は、痛みもなく、自宅での服薬が可能ということで、
大いに期待されています。

ただ、承認条件として、
「舌下投与による減感作療法に関する十分な知識・経験を持つ医師によってのみ処方・使用されるとともに、
本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師・医療機関のもとでのみ用いられ、
薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、
製造販売にあたって必要な措置を講じること。」
とされており、
どこの病院・診療所でも治療を受けられるわけではなさそうです。

スギ花粉症の根治治療として期待され、
欧米では、「サブリンガル・イムノセラピー(SubLingual ImmunoTherapy)」、
略してスリット(SLIT)と呼ばれ、広く普及しています。
1998年には世界保健機関(WHO)が花粉症の治療法の1つとして本治療法を推奨しています。

1998年にWHOが推奨しているのに、
日本で使えるようになったのは、2014年ですので、
16年も遅れています。

これも一種のドラッグ・ラグなのでしょうか?
もっと早く承認されても良かったように思います。
posted by HIRO at 07:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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