(コメント)
ピーナツアレルギーの子供に少量のピーナツを毎日与えると、
ピーナツを食べても大丈夫になったとの記事です。
なんとも不思議な感じですが、
実は、この現象は、古くから知られ、
「経口免疫寛容」(けいこうめんえきかんよう)と呼ばれています。
免疫とは、自己と非自己とを分けて、非自己を排除する仕組みですが、
食べ物は基本的に全て非自己ですので、これを排除してしまっては生きていけません。
この為、口から入るものには、免疫が起きないようになっています。
これを「経口免疫寛容」といいます。
この「経口免疫寛容」を利用してアレルギーを起こさないようにするものとして、
漆(うるし)職人の子供に漆(うるし)を食べさせるというものがあります。
今回のピーナツアレルギーに関する記事も、漆(うるし)の場合と同じようなものだと考えられます。
同じような効果を期待して、スギ花粉が健康食品として売られていたこともありました。
ただ、この杉花粉の健康食品を飲んで、アナフィラキシーショックを起こした人がいて、
それ以後、健康食品としてのスギ花粉の販売が禁止されました。
ピーナツアレルギーの治療にピーナツを使った実験でも、
5人に1人の割合で「有害事象」が見られたとなっていますので、
この「経口免疫寛容」を個人で試すのは、危険かもしれません。
スギ花粉の「免疫寛容」を利用した「シダトレン

スギ花粉舌下液」の
製造販売承認を鳥居薬品株式会社が、2014年1月17日に、取得しました。
従来から施行されてきた減感染療法(げんかんさりょうほう)は、皮下注射によるもので、
注射による痛みがあり、
また、必ず病院・診療所へ行ななくてはなりませんでした。
今回の「シダトレン」は、痛みもなく、自宅での服薬が可能ということで、
大いに期待されています。
ただ、承認条件として、
「舌下投与による減感作療法に関する十分な知識・経験を持つ医師によってのみ処方・使用されるとともに、
本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師・医療機関のもとでのみ用いられ、
薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、
製造販売にあたって必要な措置を講じること。」
とされており、
どこの病院・診療所でも治療を受けられるわけではなさそうです。
スギ花粉症の根治治療として期待され、
欧米では、「サブリンガル・イムノセラピー(SubLingual ImmunoTherapy)」、
略してスリット(SLIT)と呼ばれ、広く普及しています。
1998年には世界保健機関(WHO)が花粉症の治療法の1つとして本治療法を推奨しています。
1998年にWHOが推奨しているのに、
日本で使えるようになったのは、2014年ですので、
16年も遅れています。
これも一種のドラッグ・ラグなのでしょうか?
もっと早く承認されても良かったように思います。
posted by HIRO at 07:30
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