ヒルは、漢方では、水蛭(すいしつ・すいてつ)と呼ばれ、
陳久瘀血(ちんきゅうおけつ)や陳旧瘀血(ちんきゅうおけつ)と呼ばれる
瘀血が永年の経過を経たもので、なかなか治りにくいものとされています。
この陳久瘀血(陳旧瘀血)を除く漢方薬方としては、
抵当湯・抵当丸(ていとうとう・ていとうがん)、
大黄䗪虫丸(だいおうしゃちゅうがん)、
下瘀血丸(げおけつがん)などがあります。
慢性病(生活習慣病)の多くは瘀血が関与していると言われていて、
特に慢性化したものは、陳久(陳旧)瘀血が関わっているとされていますので、
上記の漢方薬方の使用は重要だと考えられます。
ただし、残念ながら、
現在の医療用漢方製剤や一般用漢方製剤、
すなわち薬事法で認められた医薬品としては、
これらの漢方薬は存在しません。
自費診療で漢方薬を扱っているような所であれば、
ヒルのような、陳久(陳旧)瘀血を除くような漢方薬を使っているかもしれません。
ヒルが血を吸った傷口からは、
出血がなかなか止まりません。
これはヒルジンと呼ばれる酵素によるものです。
日本の民間療法でもヒルに血を吸わせる療法はあります。
ヒル腸内の常在菌による創傷感染も報告されていて、
ほとんどは、局所の軽度感染例のようですが、
時には、敗血症(はいけつしょう)や
患肢切断に至った重傷例もあるようです。
そういう意味では、記事の療法やヒルを使った日本の民間療法も
危険かもしれません。
陳久瘀血・陳旧瘀血に使用される生薬としては、
水蛭の他に、虻虫(ぼうちゅう)、䗪虫(しゃちゅう)、乾漆(かんしつ)などもあります。